マーケット・金融

異次元緩和は終わる?Yes or No 藤代宏一/亀田制作

2023年後半から24年前半に修正あり得る 藤代宏一

 日銀は9年半続けてきた“異次元緩和”からの出口に向かうのか。「Yes」か「No」かの2択で答えるなら、Yes。その時期は、2023年後半~24年前半と想定している。

 鍵となるのは①国内の賃金上昇率、②海外金利の動向だ。現在、黒田東彦総裁は賃金上昇率が十分に高まっていないことを金融緩和継続の理由にしているが、人手不足感が強まる下で、企業収益が高水準を維持している現状に鑑みると、23年春闘賃上げ率が日銀の想定以上で着地する可能性もあり、そうなればマイナス金利撤回を含む、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正機運が高まるだろう。

 実のところ、賃金はまずまずの上昇傾向にある。21年上期からその傾向が徐々に表れていた。代表的な賃金指標である毎月勤労統計に基づくと、22年9月の現金給与総額は前年比でプラス2.1%と、比較的高い伸びが実現。また、基本給に相当する概念である所定内賃金もプラス1.3%と、安定的に1%を上回っている。このような安定は15年以降ではなかったことだ。

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