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米で家賃上昇が鈍化 FRB「軟化」の日は近い 藤代宏一

 世界を揺るがす米国の高インフレに、ようやく沈静化の兆しがみえてきた。

 そう言い切れるのは、消費者物価指数(CPI)において約3割の比重を有する「家賃」の上昇鈍化を示唆するデータが増えつつあるためだ。

 最も代表的な指標として、ケース・シラー住宅価格指数がある。10月25日に発表された8月分は季節調整済み前月比がマイナス1.32%と2カ月連続で低下し、原数値の前年比上昇率もプラス13.08%まで鈍化した(図1)

 瞬間風速を計測するために、季節調整値の3カ月平均前比年率をみてみると、マイナス7.08%、3カ月前比年率の3カ月平均値はプラス2.83%と垂直的落下を示し、住宅価格の変調を浮き彫りにした。後者がマイナス圏に沈むのはリーマン・ショックの傷が癒えていなかった2012年以降で初めてなので、この数値は相応のインパクトがある。

 重要なのは、この指標がCPIにおける「家賃」に対して12カ月程度の先行性を有することである。

 現在CPIは前年比プラス8.2%と高止まりしており(図2)、米連邦準備制度理事会(FRB)はそれを抑え込むために強烈な金融引き締めを講じている。しかしCPI家賃の遅効性を踏まえると、23年になれば家賃は全体のインフレ率に対して下押し方向の圧力をかけると考えられ、その結果としてインフレ率が鈍化する可能性が高い。

 現在、インフレ率加速に寄与している家賃が下落方向に転じることの意味は大きい。もちろんFRBは、そうした指標の特性を把握している。それもあってか、最近は金融引き締めが行き過ぎてしまうリスクに言及するFRB高官も少しずつだが増えてきた。

「利上げ緩める時期」

 例えば…

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