中国経済「デットデフレーション」に警戒 関辰一
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「ゼロコロナ」政策が続く中国経済はどうなるのか。日本総合研究所主任研究員の関辰一氏に聞いた。(聞き手=斎藤信世・編集部)
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── 「ゼロコロナ」政策をどうみるか?
■景気は、政府によるゼロコロナ政策を主因に低迷している。南部の広東省など多くの地域で感染者が増加しており、厳しい操業制限や外出制限といった行動制限が再び強化されている。この結果、外食や旅行などのサービス消費を中心に経済活動が弱まっている。
政府は今年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で、通年で5.5%の成長率目標を示していたが、達成は不可能だろう。それだけ今年は極めて厳しい1年で、経済成長率は3%前後になるだろう。
ゼロコロナ政策は、世界的にパンデミックが終息するまで、大きく変わらないリスクがある。こうした中、家計の雇用見通しDIは、行動制限は一時的なものと受け止められていた2020年前半よりも悪化するなど、先行き個人消費の萎縮が続くことを示唆する懸念材料が少なくない。ゼロコロナ政策のマイナス影響が残ることで、23年も景気低迷が続き、成長率は4%台だろう。
ゼロコロナ政策は、出生数の大幅減少や外国企業による対中投資の慎重化といった構造問題も引き起こしている。この結果、潜在成長率は低下していると考えられる。
── 不動産市場は厳しい?
■足元では、住宅販売は低迷しており、住宅価格は下落が続くなど厳しい状況だ。住宅ローン金利の引き下げといった従来の支援策はあまり効いていない。そこで、政府は今年11月、不動産市場に対し、16カ条のてこ入れ策を追加で発表した。金融機関に対して不動産企業向けの融資の返済猶予や融資拡大を要請したほか、国有企業と民間企業のデベロッパーを平等に扱うよう指示を出している。これらの効果を注視する必要があるだろう。
住宅需要が減り続けることで、政府の刺激策があっ…
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週刊エコノミスト
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