「炭素に対する割賦金」? 炭素税と呼べない事情
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「イーロン・マスク氏がこの場にいたら、我々の半分はクビかもしれない」。11月にあった環境省の審議会で、委員から出た発言だ。審議会の議題である「炭素税」への政府の機運がすっかりトーンダウンしているからだ。
炭素税とは文字通り、二酸化炭素の排出量に応じて企業などに課す税金。環境省は何年も前から導入を検討してきたが、財界からの猛反発などもあり実現に至っていない。今年末の与党の税制改正大綱にも盛り込まれないだろうとの見方が強まっている。
一方で、炭素税を巡る議論を換骨奪胎しつつあるのが経済産業省だ。「成長志向型カーボンプライシング(炭素への価格付け)」というキャッチフレーズのもと、企業同士で排出枠を売買する「排出量取引」を猛プッシュする。確かに炭素税も排出量取引もカーボンプライシングの一手法には違いないが、性格は異なる。特に、成長志向型と形容した場合は、排出量取引の方を意味するのが暗黙の了解だ。
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週刊エコノミスト
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