『文藝春秋』より抜き中国関連記事からは日中関係の「変化」より「不変」が見える? 加藤徹
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日本は強大化する中国といかに向き合うべきか。城山英巳『日中百年戦争』(文春新書、1045円)は、その答えを導くため、雑誌『文藝春秋』の過去の中国関連記事を、戦前から現代のものまで選抜して紹介し、それぞれについてコメントを述べる。どの記事も迫力があるが、特に、訪中した日本人の証言は興味深い。
1956年、毛沢東は、元陸軍中将の土居明夫らを北京に招いた。毛は土居と1時間半みっちり話した。「私たちは、私たちと戦争をした人、また反共の人でも喜んでお迎えする」「我々はもう過去のことには関心を持たない。また、中国がいかに強大になっても、日本を侵略するようなことは決してしない」「もし御希望なら、自分(毛沢東)が日本の参謀長になってもいい」「天皇陛下によろしく申し上げてくれ」。土居は、毛が「陛下」と敬称を付けたことに「異様」さを感じ、通訳に確認したほどだった。毛は「皇軍(日本軍のこと)に感謝したい」とさえ発言した。「“皇軍”が中国の大半を占領し」たおかげで中国人民が奮起し、その後の国共内戦で中国共産党が勝利できたから「私はむしろ日本軍閥に感謝したい」と、毛は61年に訪中した日本の国会議員にも繰り返し…
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週刊エコノミスト
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