個人消費はサービス関連支出に大きな伸びしろ 永浜利広
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2023年はコロナ感染の一服で、旅行など外出を伴う消費が増えそうだ。
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個人消費は日本の実質国内総生産の約55%を占める最大の項目だ(2022年7~9月期時点)。23年の日本経済を見通す上で最も注目度の高い項目の一つといえる。
名目家計消費(持ち家の帰属家賃を除く)を見ると、22年に急速に回復し、7~9月期時点では21年末より5.8%も多かった。国民が新型コロナウイルスの感染対策に慣れたことなどにより、サービス消費が回復したからだ。特に、自治体が打ち出した観光支援策の影響で、旅行関連支出が増加するとともに消費の伸びも拡大した。
しかし、インフレを加味した実質ベースでは家計消費の増加テンポは大きく減速し、22年7~9月期時点で21年末比2.2%増にとどまった。背景にはコロナショックとウクライナ危機により値上げラッシュが横行したことがある。
特に食料やエネルギーといった非耐久財の値上がりが著しかったことから、その支出が抑制された要因も大きいだろう。非耐久財の消費は21年末から22年7~9月期にかけて名目では6.7%増えたのに対し、実質では同0.5%増にとどまっている。
さらに、車や家電などの耐久財に至っては、実質で21年末より少ない。半導体などの部品不足により供給が追いつかず、値上げも相まって実質ベースでは感染が拡大してから最も低い水準に落ち込んでいる。
足元では経済活動がコロナ禍を脱する動きはあるが、回復しきってはいない。個人消費は23年も回復傾向が続く可能性が高いだろう。というのも、依然としてサービス支出はコロナショック以前の水準より9兆円程度少ない(図)。コロナショックを契機に落ち込んだ移動や接触を伴うサービス関連の支出には、回復の余地があることを示している。
「強制貯蓄」にまだ余裕
つまり、23年の消費を展望する上では、サービス消…
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週刊エコノミスト
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