エネルギー価格高騰と脱炭素政策を追い風に「地産地消」電力が拡大へ 本橋恵一
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地産地消型再生可能エネルギーの新たなビジネスモデルが登場している。
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日本で地産地消型の地域電力事業は拡大するのか。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に代わる仕組みとして注目されている「PPA(電力販売契約)」。そして、化石燃料価格の高騰で業態転換を迫られている新電力。この二つが地産地消型電力を拡大させる原動力となりそうだ。
日本の再生可能エネルギーの拡大は、これまでFITに支えられてきたが、住宅用以外の太陽光発電のFITは事実上終了している。PPAは、これに代わる仕組みとして期待されている。PPAとは、特定の発電・売電事業者と特定の電力需要家が直接に電気の売買契約を結ぶ方法だ。
PPAはこれまでにも、事業所の屋根に第三者が太陽光発電パネルを設置して、その電気を屋根を貸した事業所に販売するといった事業が拡大してきたが、屋根上太陽光だけでは十分な電気を供給することは難しいため、最近は離れた場所に太陽光発電施設を設置して、事業所に電気を供給する方式が注目されている。発電所が離れると送電線の使用料(託送料金)がかかるので、今までは経済的メリットを出しにくかったが、化石燃料価格の大幅な高騰で、事業所向けの電気料金が大幅な値上がりを続けているため、離れた発電所のPPAでも経済性が出てきた。大阪ガスなどは積極的にPPAプロジェクトの開発を進めている。ただし、太陽光や風力発電などは、開発可能な場所が限られつつあり、事業者間で厳しい競争になっている。
新電力の経営は悪化
一方、販売する電力の多くを日本卸電力取引所(JEPX)からの調達に依存している新電力は、卸電力市場価格の高騰で経営が急速に悪化している。このため新電力の中にはPPAを自社電源として確保し、地産地消型事業に乗り出す動きも出ている。
FITの場合、投資も電気の売り先も地域…
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週刊エコノミスト
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