蒋介石のひ孫が台湾総統候補になるのは8年後? 近藤伸二
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台湾では2024年に4年に1度の次期総統選が行われ、23年は各党の候補者決定から選挙戦に至る「政治の年」となる。台湾の主体性を重視し中国と対立する民進党と、中国との協調を志向する国民党を軸とした総統選の結果は、中台関係に重大な影響を与える。台湾海峡が緊迫する事態もあり得るだけに、国際社会も注視している。
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総統選の前哨戦となる統一地方選は22年11月26日に投開票された。候補者死去により延期された1市長選を除く21県市長選で、最大野党・国民党が13勝したのに対し、与党・民進党は5勝どまり。残るポストは第三勢力の台湾民衆党が1、無所属が2を得た。
台湾の人口の約7割が集中する6直轄市(台北、新北、桃園、台中、台南、高雄)の市長選でも、民進党は地盤である南部の台南と高雄の2市しか押さえることができなかった。蔡英文総統は党主席を引責辞任した。
民進党の大敗は、新型コロナウイルス対策や経済政策などで蔡政権に対する不満が高まったことが主因とみられる。総統選は対中関係や外交などが主要な争点になり、今回の結果をそのまま総統選に当てはめることはできないが、民進党は勢いを失った状態で総統選に臨むことになる。蔡氏が主導して選んだ候補者が敗れたケースが目立つだけに、指導力に陰りが出るのは避けられない情勢だ。
蔡氏は総統連続2期目で、規定により次回は出馬できない。民進党で有力とみられているのが、大衆的人気がある頼清徳副総統だ。世論調査でも「総統にふさわしい人物」でリードする。ただ、独立色が強く、対中関係を一層悪化させると懸念する向きもある。他に、陳建仁・前副総統らの名前も取り沙汰されている。
一方、国民党も切り札に欠けるのが実情だ。朱立倫主席が意欲を示しているが、支持率は低迷している。期待が高まっているのが、今回、人口の最も多い新北市長選で圧勝した侯友宜氏…
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週刊エコノミスト
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