前代未聞のカルテルで電力3社に株主代表訴訟リスク 谷道健太
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カルテルの課徴金は過去最大の総額1000億円超──。公正取引委員会は12月1日、事業者向け電力販売でカルテルを結んだとして、中国電力、中部電力、九州電力の3社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)として課徴金納付などを命じる処分案を通知した。3社はあまりに重い代償を払うばかりか、経営陣に対しては株主代表訴訟が提起される可能性もある。
中国電力は処分案の通知を受け、12月2日に2023年3月期の業績予想を下方修正。課徴金707億円を特別損失に計上し、1390億円としていた従来予想の最終赤字が2097億円に膨らんだ。課徴金額は中国電力だけで過去最高となる。また、中部電力も課徴金275億5500万円を22年10〜12月期決算で特別損失に計上するほか、九州電力の課徴金は27億円になるという。
3社は関西電力と18年秋以降、大規模工場向けの「特別高圧電力」や企業向けの「高圧電力」で、互いに自由化前の供給区域で顧客を奪い合わないよう合意していたという。電力の小売り自由化は00年、特別高圧電力から始まり、16年に家庭など向けの「低圧」で全面自由化されたが、自由化の掛け声の裏側で大手電力会社が競争制限をしていたことになる。関西電力は公取委に自主的に申告したことで処分を免れたようだ。
組織的な関与の度合いなどはまだ明らかでないが、株主からコンプライアンス(法令順守)体制を巡って経営陣の責任が問われうる。金融庁などに「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の策定を働きかけた米国弁護士のニコラス・ベネシュ氏(公益社団法人「会社役員育成機構」代表理事)は「株主や世間はカルテル防止体制を整備するため、内部調査を求めるだろう。その過程で証拠となる事実関係が明らかになる可能性がある」と指摘す…
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週刊エコノミスト
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