GAFAM5社 二重苦のメタが独り負け 山本康正
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世界のIT産業をけん引する米国のテック企業だが、苦戦のメタ、懸念材料を抱えるグーグルとアップル、堅実なアマゾンとマイクロソフト、と濃淡が分かれてきた。
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GAFAM(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック〈現メタ・プラットフォームズ〉、アップル、マイクロソフト)のうち、アマゾンとメタが2022年11月、1万人規模のリストラを発表した。
しかし、両社の状況はまったく異なる。アマゾンはコロナ特需が一巡したことで、想定よりEコマース(電子商取引)の伸びが鈍化したため、人員を削減し、業務運営の効率化を図ることになった。一方のメタは、本業の広告事業が不調であることに加え、ビジネスの転換先であるメタバース(インターネット上の仮想空間)もうまくいっていないという二重苦となっている。このためリストラでコスト削減を実施し、株主からのプレッシャーをなんとか切り抜けようとしている。
メタの株価はこの1年間で半減している。SNS(交流サイト)では人の余暇時間の奪い合いが起こっており、例えば、これまでフェイスブックを見ていた時間が、中国バイトダンスのTikTokに取られている。SNSの賞味期限は10年以下と短いことが多く、06年から一般向けにサービスを本格展開したフェイスブックは一つの限界を迎えている。
23年にメタが浮上する条件は、メタバースがうまくいくことだ。具体的にはVR(仮想現実)端末「オキュラス」用のVRゲームで、ビッグヒットのコンテンツが生まれることだが、難しいだろう。そもそも、「GAFAM」という分類は日本でのもので、米国では「ビッグテッ…
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週刊エコノミスト
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