その場しのぎのメタバース、キャッチコピーのWeb3.0 山本康正
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注目はされているが、時間がたっても期待ほどの広がりが見られず、その将来に懐疑的な見方が生じている。>>特集「メタバース&ウェブ3のすごい世界」はこちら
消費者に「驚き」なくヒット作出ないまま
メタバースは、掛け声倒れに終わる可能性があり、先行きは厳しいとみている。
「メタバース」という言葉は以前からあるが、現在のメタバースは、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)CEOのマーク・ザッカーバーグ氏がSNS事業の苦境から脱出するために使った用語という印象を持っている。フェイスブックは、プライバシーの問題や広告の質、フェイクニュースへのずさんな対応などが問題視され、事業の存続性に疑問がある。そこで苦肉の策として、メタバースを打ち出し、社名も変更した。
しかし、メタバースが注目されて1年がたつが、現在までスマッシュヒットになるような商品は出ていない。それは消費者に驚きがないからだ。米国ではメタバースは「メタ(ザッカーバーグ氏)がやっていること」と見る人が多く、投資家の反応も鈍い。
仮想空間での交流について、離れた人同士の交流は、例えばズームなどのオンライン会議システムで今のところ十分だ。VR(仮想現実)端末を装着して、仮想空間内において交流する必要のある状況が出てこない限り、意味がないと思う。ただし、人には変身願望があるので、アバターとして交流したい需要はある。しかしそれもVRでやる必要があるかは疑問だ。VR端末を装着してまで行う楽しい何かがないと普及は難しい。
メタ以外の企業のメタバースの動きも特に驚きはなく、基本的にVRの時と同じとみている。VRは2015年ごろに一度盛り上がって、多くのメーカーがVR端末を販売したが、スマッシュヒットは生まれず、多数派には広がらなかった。VRゲームでは例えば、「スーパーマリオ」を超えるものは出ていない。3Dの映像を楽しむといっても、マニア的…
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週刊エコノミスト
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