44年前の衝撃的台詞をかみしめる時が来た 片山杜秀
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片山杜秀の闘論席
米国がとても内向きになり、ソ連が対日侵攻してきても日米同盟が果たして機能するのかが疑われていた1979年。経済学者の森嶋通夫が「新『新軍備計画論』」を『文藝春秋』の7月号に発表した。
森嶋は戦争中、学徒出陣で海軍に入った。戦後にもなお、井上成美海軍大将に傾倒していた。井上は対米戦争に備えて「新軍備計画論」を著し、戦艦を棄(す)てて空母と飛行機に特化すべしと主張した。十分に受け入れられなかったが、後から見れば、井上が正解だった。森嶋は井上同様、新たな正解を70年代末の日本に早く示して議論を喚起せねば、再び国が亡(ほろ)ぶかもしれぬと心配した。「新『新軍備計画論』」が世に問われた。
森嶋は説く。ソ連の脅威に単独で対抗するには大量の核兵器を含めた重武装が必要である。だがそれには国が傾くほどの予算を投じねばならぬし、日本の国際的信用を失墜させてかえって危機を招きもする。
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週刊エコノミスト
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