インドを追う国々《ベトナム》成長率でASEANトップ 三木貴博
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東南アジアでトップの成長率を誇っているが、足元では物価上昇などの懸念材料も出ている。
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2022年のベトナム経済は、21年の新型コロナウイルス対策による厳しいロックダウン(都市封鎖)などの影響の落ち込みから回復基調にある。22年1~9月の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比8.8%を記録。特に第3四半期(7~9月期)の成長率はマイナスを記録した前年同期(6.0%減)の反動もあり、13.7%と高い成長率を記録した(表1)。
22年通年の経済成長率について、アジア開発銀行(ADB)は12月14日に発表した報告書で、前回発表(9月)の前年比6.5%から7.5%に引き上げている。インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国のなかでは最も高い予測だ。その他、国際通貨基金(IMF)などの国際機関も同様に7%台の成長率を予測する(表2)。
好調の要因として、新型コロナ禍からの国内の経済活動の回復や、海外からの需要(輸出)の回復が挙げられる。米S&Pグローバルが発表する製造業購買担当者景気指数(PMI)をみると、ベトナム政府がウィズコロナ政策に方針転換した21年10月以降22年10月まで景況感の景気拡大の基準である50を上回り、製造業の好調が続いていた。また、国内の小売り・サービス売上高は、22年1~11月は前年同期比で20.5%増加している。これには、観光分野の回復も貢献している。同国への海外からの訪問者数は、入国後の隔離措置等を撤廃した22年3月時点では1カ月約4万人にとどまっていたが、11月には約60万人と15倍以上となった。
また、海外からの需要の面では、日本や米国、欧州の需要の回復が見られ、22年1~10月のベトナムの輸出額は前年同期比で15.9%増加した。
製造業の景況悪化
一方、23年の経済の見通しでは、足元でいくつか懸念材料が見られる。前述のPMI指数が、11月に入り47.4となり、13カ月ぶりに景況感の悪化の基準となる50を下回った。S&Pによると…
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週刊エコノミスト
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