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インバウンドの完全復帰は一体いつになるのか 斎藤太郎

 新型コロナウイルスの影響でほぼ消失していたインバウンド需要が、ここにきて急回復している。

 日本政府観光局(JNTO)によれば、訪日外客数は2022年4~9月は10万~20万人程度で推移していたが、22年10月は49.9万人、11月が93.5万人で、前年同月と比べるとそれぞれ22.5倍、45.2倍となった。季節調整値(筆者による試算値)では、10月が前月比114.9%、11月が同1120.8%の急増となっている(図1)。

 日本は、コロナの国内での感染拡大防止を目的として、諸外国に比べて厳しい水際対策を講じてきたが、22年に入ってから段階的に規制を緩和している。10月11日からは、入国者数の上限が撤廃されたことに加え、個人旅行の解禁、短期滞在のビザ免除の再開などが実施され、このことが訪日客数の増加につながった。コロナ前と比べて為替レートが大幅な円安水準となっていることも押し上げ要因になっていると考えられる。

 インバウンド需要の回復は顕著だが、22年11月の訪日外客数はコロナ前(19年平均)に比べると、4割弱の水準にとどまっている。国別には、韓国が154%とコロナ前の水準を上回り(ただし、韓国は日韓関係悪化の影響で19年の水準が低かった。18年比では54%)、ベトナム、シンガポール、米国、インド、ドイツは50%以上の水準まで回復している。しかし、コロナ前には全体の約3割を占めていた中国…

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週刊エコノミスト

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