中国最大オンライン不動産取引業の貝殻控股 富岡浩司
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KE Holdings 中国都市部で高い住宅需要/63
貝殻控股(KEホールディングス)は、中国最大の住宅取引のオンライン・プラットフォームを運営する総合住宅関連サービス企業である。新築・中古住宅の販売や仲介、賃貸住宅の仲介、家具や内装サービスの提供を手掛ける。2021年の売上高構成は中古住宅が39.6%、新築住宅が57.5%、その他の新規事業が2.9%となっている。01年に住宅仲介の鍵家(LianJia)から分社化して発足、20年にはニューヨーク証券取引所、22年に香港証券取引所に上場した。
事業規模は極めて大きい。21年に同社のオンライン・プラットフォームを通じて成立した不動産取引は450万件を超え、総取引額は3兆8535億元(約73兆円)に達する。中国住宅市場における取引シェアは21年末時点で9.7%に達する最大の不動産取引・サービス企業であり、かつ取引額ベースでは世界でも三本の指に入る商業プラットフォーム運営業者でもある。こうした点が評価されて、中国ネット大手のテンセントや日本のソフトバンクグループのビジョン・ファンドなどが出資している(22年5月の香港上場時点)。
中国は近い将来に人口減少に転じるという構造的難題を抱えるものの、国内住宅市場はなお成長の余地がある。中国の21年の人口都市化率は64.5%と、日本や欧米の8〜9割に比べて低い。さらに政策の後押しで、農村部から都市部への人口流入が住宅需要の押し上げに寄与している。そのほか、中国でも進展する核家族化や、所得増加を背景にした高品質住宅への買い換えなども需要増になる。
独自のデジタル化
中国の住宅市場はデジタル化が遅れているなど、非効率的な問題点が多い。例えば、大規模な住宅取引プラットフォームが整備されていないため、売却や購入の希望者は複数の不動産業者やブローカーと連絡を取る必要がある。また、不動産業者やブローカーは情報共有を望まず、情報を独り占めしたがる傾向が強く、取引が成立する可能性が低くなったり、取引希望者の権利を毀損(きそん)する例も多い。
そうした状況を改善すべく、貝殻控股は11年に自前でACN(エ…
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週刊エコノミスト
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