米ハワイ州航空最大手ハワイアン・ホールディングス 宮川淳子
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Hawaiian Holdings 観光客とAmazon.com貨物機で業績回復へ/64
ハワイアン・ホールディングス(ハワイアンHD)は、傘下のハワイアン航空を通じて、北米線(米国の主要都市とハワイ諸島間)とネイバーアイランド線(ハワイ諸島間)の国内線と、アジア太平洋やオセアニアとを結ぶ国際線の、旅客・貨物・郵便等の定期便事業を行っている。アメリカンやデルタなどの業界最大手エアラインと比べるとハワイアン航空の事業規模は小さい。また、新型コロナウイルスの大打撃に加え、現在は賃金やエネルギー価格の上昇が業績の重しとなっている。しかし、ハワイへの旅行はここ数年、観光客の我慢でたまっていたペントアップ(繰り延べ)需要の勢いが強い。ネット通販最大手アマゾン・ドット・コム(アマゾン)と業務委託契約を締結したこともあり、ハワイアンHDの収益が上向く兆しが見え始めている。
新型コロナウイルス感染拡大1年目の2020年通期の売上高は前年比70%減の8.4億ドル(約1092億円)となり、純損失は5.1億ドル(約663億円)に膨らんだ。その後、21年通期の売上高はコロナ前の19年比43%減に縮小し、22年1~9月期は19年同期比で10%減まで回復している。ハワイアン航空の定期便事業収入の内外比率は、国内線94%(78%が北米線、16%がネイバーアイランド線)と国際線6%で、北米線の比率が高い。北米線はレジャー客が主体でコロナ禍の打撃が非常に大きかったが、ビジネス客よりも需要の回復スピードが速い。そのため、便数や座席数は減っているものの、22年10~12月期の売上高は19年比で1.5~5.5%増加すると同社は見込んでいる。
米国人が急回復
ハワイ州産業経済開発観光局によると、19年の航空便を利用したハワイ州への渡航者数は累計1024万人で、うち米国本土からが687万人と全体の3分の2を占めている。22年1~10月の渡航者数は756万人で、19年の同期間に比べると11%減だが、本土からの渡航者だけをみると14%増加している。本土以外の3分の1を占める日本とその他海外からの渡航者はそれぞれ90%と…
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週刊エコノミスト
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