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債券含み損で身動き取れない米銀 市岡繁男

 米連邦預金保険公社(FDIC)によると、米銀は債券ポートフォリオに6900億ドル(約90兆円)の含み損を抱えている(図1)。これは自己資本の32%に相当する莫大(ばくだい)な金額で、その割合は2008年のリーマン・ショック時でも約5%に過ぎなかった。損失は途中売却しない限り表面化しないとはいえ、総資産(23兆ドル)の4分の1を占める債券残高(約6兆ドル)は、償還期限まであと何年も資金が固定してしまう。

 今の金利上昇局面は銀行にとって絶好の収益機会となるはずだが、債券に振り向けた資金を貸し出しに回せないこともあって、マネーストックM2は急激に低下し、昨年11月は前年比微減となった(図2)。これは過去の日本の事例が示す通り、先行きの波乱を予感させるものだ。

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