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週刊エコノミスト Online NISA徹底活用術

つみたてNISAで狙う投信10本 鈴木雅光

 これから議論の俎上(そじょう)に載ると思うが、つみたてNISA枠の対象ファンドのうち、「指定インデックス投資信託以外の投資信託」、つまりアクティブ型投信について、選定基準の見直しが行われる可能性がある。インデックス型投信についても今後、さらに追加されるものが出てくると思われるからだ。そうである以上、現時点で、どのファンドが「有望」か明言するのは難しい。

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 その前提で話を進めるが、新NISAで注目されるのは、うがった見方をすると、おそらくアクティブ型投信だろう。

 新NISAには、「つみたてNISA枠」と「成長投資枠」が設けられる。成長投資枠は事実上の一般NISAだが、過去、一般NISAが「長期・分散・積立投資」という資産形成の大原則から外れた使われ方をされたせいか、今回の新NISA議論のなかでも、「つみたてNISAだけで十分」という強い意見があったようだ。一般NISAを「成長投資枠」としたのは、一般NISAを排したい勢力と、それを回避したい証券業界との妥協点だったと考えられる。

 つまり、新NISAの主役はあくまでも「つみたてNISA枠」ということになるが、アクティブ型投信の選定基準が現状のままだと、つみたてNISA枠よりも成長投資枠に資金が流れる可能性がある。理由は単純明快、つみたてNISAは金融機関にとってもうからないからだ。

 つみたてNISAの対象はインデックス型投信が中心であり、現時点でつみたてNISAを利用している人は、新NISAがスタートした時、そのままインデックス型投信で積立投資を続けるだろう。

余裕あれば、成長投資枠

 しかし、インデックス型投信は、純資産総額でトップの「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」の場合、信託報酬率は年0・0968%(うち販売金融機関分は年0・034%)しかない。1000億円販売しても年間の信託報酬額が3400万円では、およそ商売にはならない。よって販売金融機関は、つみたてNISA枠よりも大きな年間投資枠が認められ、かつ対象商品につみたてNISAほど厳しい制約が設けられていない成長投資枠での投資を勧めてくるはずだ。そうなると、新NISAで販売金融機関が注目してくるのは、より高い信託報酬が取れるアクティブ型投信になる。

 すると、個人が賢く資産形成をするためには、その逆を考えればいい。つまり、長期の資産形成は、つみたてNISA枠を用いて、世界中の株式市場に分散投資できるインデックス型投信を用いる。ただし、長期の資産形成だから、繰り上げ償還されるリスクがあるような純資産総額の規模が小さいファンドは避けることだ。

 それでも余裕があるなら、成長投資枠を活用して、アクティブ型投信を選ぶのも一案である。選ぶ場合は、継続的に資金流入が続いているものを選ぶことだ。なぜなら、資金が流出しているファンドは運用面に支障を来す恐れがあるからだ。

(鈴木雅光・JOYnt代表)


週刊エコノミスト2023年1月31日号掲載

NISAで狙う4 注目10本 つみたてNISAを基本に純資産総額が大きい商品を=鈴木雅光

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