コロナまん延から急回復の上海 中国の内需拡大に期待 酒井昭治
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1月中旬に入り、上海の街中は新型コロナウイルス禍前の活気を急速に取り戻した。わずか3週間前の12月下旬には、観光地やオフィス街などあらゆる場所で人の姿が皆無に近い状況だったが、感染から回復した人が外出を再開。久々に外食を楽しむ人でレストランはにぎわい、ショッピングモールは買い物客であふれた。
上海市の地下鉄利用者数データより、まん延開始から収束までの動きが見て取れる。平時であれば日々1000万人程度となる延べ利用者数は、今回の感染ピーク時期とみられる12月22日に前週比で6割以上となる最大の下落率を記録。その後は緩やかに回復し、28日にプラスへ転じると、1月9日からの週には、1日当たりの利用者数が800万人を超えた。
「2〜3週間のうちに知人のほぼ全員が感染した」と口々に言われる今回の流行だが、感染症の専門家は12月末時点で北京市の感染率は80%以上と試算。約1億人の常住人口を抱える中部の河南省は、1月6日までに省内の感染率は89%に達したと公表した。
短期間でまん延した理由に、オミクロン株の感染力の強さや、約3年にわたるゼロコロナ政策下での人々の免疫力低下、中国内は不活化ワクチンの接種が中心だったことなどが挙げられている。冬季、かつ新規感染者数が過去最高を更新する中での防疫対策緩和であったが、まん延は異常な速さだ。
代償は大きく、国家衛生健康委員会は12月8日から1月12日までで、コロナ関連の死亡者数が約6万人に上ったと公表。うち9割が65歳以上で、基礎疾患を抱える人の割合も9割に上ったと明らかにし、感染リスクも再認識された。感染拡大後は解熱剤やせき止めなど薬の需要が急増し、今後に備え、薬を常備する動きも広がる。実質的な「ウィズコロナ」への移行で、コロナへの対処法や認識が、…
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週刊エコノミスト
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