国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

習氏が年頭あいさつで示した強い危機感の内実 岸田英明

ゼロコロナの終了で空港には人々が戻るが、混乱なく経済は回復するか(2023年1月) Bloombergp
ゼロコロナの終了で空港には人々が戻るが、混乱なく経済は回復するか(2023年1月) Bloombergp

「最も困難な局面を打開できてこそ、最も遠大な目標を目指すことができる」。中国の習近平総書記は2022年12月31日の「新年のあいさつ」で訴えた。全体では総じてポジティブなトーンで語られたが、冒頭のくだりには「困難な局面」に対する習氏の強い危機感がはっきり映し出されていた。

「遠大な目標」とは49年の「社会主義現代化強国の建設」と、それの段階的目標である35年までの「基本的な実現」を指す。習氏は20年秋に「(中国は)35年までに経済総量を倍増させられる」と語った。世界が新型コロナウイルスの感染拡大と戦う中、中国はこれを抑え込み、経済をV字回復させ、自信をみなぎらせていた時期だ。だが中国の長期の成長見通しは、当時から悪化の一途をたどる。

黄信号の米中GDP逆転

 15年間での国内総生産(GDP)倍増には年平均4・8%の成長が必要だ。期間の序盤で「貯金」が欲しいが、V字回復の勢いは続かず、20~22年の実質GDPの平均成長率は4.6%(22年のデータ、国際通貨基金の最新見通しより)と後れを取る。23年も各機関による成長予測は4%台が主流だ。

 米中のGDP逆転シナリオにも黄信号がともる。20年当時、中国が主要国の中で唯一プラス成長し、米中のGDPギャップが一気に縮まった際、英シンクタンクの経済ビジネス・リサーチ・センターは、中国が米国を追い越す時期を「28年」と予測したが、22年には「30年」に修正。日本経済研究センターは20年に予測した「29年」を翌21年に「33年」へ修正し、22年にはついに「逆転は起きない」とシナリオ自体を改めた。

 中国の成長見通しが悪化している要因は大きく三つある。一つ目は、想定以上のペースで進む少子高齢化や巨大な格差、債務増などの国内の経済社会問題、二つ目は、ゼロ…

残り650文字(全文1400文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事