コロナ混乱と総需要不足 習氏3期目の船出は「千頭万緒」 真家陽一
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中国共産党と政府は2022年12月15~16日、翌年の経済政策の基本方針を決定する「中央経済工作会議」を北京で開催した。会議では、中国経済は回復の基盤がいまだ堅固でなく、需要縮小、供給ショック、期待低下という「三つの圧力」が依然大きく、外部環境も不安定で、深刻な影響をもたらしていると指摘された。
指摘を受け、会議では23年のマクロ政策の枠組みを「五つの政策」および「六つの統一計画」に総括。前者としては、①積極的な財政政策、②穏健な金融政策、③発展と安全保障を両立する産業政策、④自立自強を中心とする科学技術政策、⑤民生を守る社会政策──を掲げた。後者では、①感染症対策と経済社会の発展、②経済の質の効果的な向上と量の合理的な拡大、③供給側の構造改革と内需拡大、④経済政策とその他の政策、⑤国内循環と国際循環、⑥現在と将来という問題の両立──が提起された。
当面の焦点は新型コロナウイルス感染症への対策だ。中国政府は「ゼロコロナ政策」という厳格な防疫措置で、感染拡大をある程度抑制してきた。だが22年以降、感染力の強いオミクロン株の流入などを背景に、感染が再拡大。ロックダウンが各地で頻発した結果、経済活動は大きく落ち込んだ。
WHO「困難な時期」
22年の実質国内総生産(GDP)成長率は第1~3四半期(1~9月)が3.0%増と、政府目標の5.5%増前後の達成には程遠い。こうした実情を踏まえ、中国政府は重症化率や致死率の低下を理由に11月以降、ゼロコロナ政策の緩和に転換したが、結果として感染者数が急増。世界保健機関(WHO)は今後、「困難な時期」に直面すると警鐘を鳴らした。
従って、短期的には感染者数の増加とそれに伴う社会の混乱にいかに対応するか、が課題となり、中国政府は当面、①診療と医薬…
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週刊エコノミスト
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