大判化で次の成長が期待されるCMOSイメージセンサー 津村明宏
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スマホの販売低迷でCMOSセンサーの成長にブレーキがかかったが、大判化が次の成長を支えると期待されている。
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これまで右肩上がりの市場成長を続けてきた「電子の目」、CMOSイメージセンサーだが、2022年の出荷数量は前年比でマイナスになったとみられる。その要因は、最大の用途であるスマートフォン(スマホ)の世界的な販売低迷だ。米調査会社IDCの調べによると、22年のスマホ出荷台数は前年比11.3%減の12.1億台にとどまり、13年以降で最低となった。特に、22年10~12月期は前年同期比18.3%減と、四半期ベースでは過去最大の落ち込みを記録した。エネルギー価格の高騰によって個人消費が低迷していることに加え、世界的なインフレで端末価格が上昇していることなどが影響した。加えて、スマホ1台当たりに搭載されるカメラの数が伸び悩んでいることも、市場成長にブレーキをかける要因となった。
とはいえ、金額ベースの市場成長は、わずかではあるが22年も継続したとみられる。これは、センサー素子の大判化、つまりセンサーチップ1個当たりの面積が大きくなったことで平均売価が上昇していることによる。センサー素子を大きくすると、光の取り込み量が増えるため、画質の向上につなげることができるのがその理由だ。
実際、米アップルのスマホ「iPhone」の22年新モデルのうち、上位2機種のメインカメラの光学サイズは、従来の1.7分の1インチから1.3分の1インチに大判化され、画素数も4800万画素にアップした。大判化は今後も進むとみられており、将来的にはミラーレスカメラ並みとなる1インチの搭載が視野に入っている。1インチへの大判化は、スマホのデザインや搭載スペースの確保などに制約が出てくるため急速には普及しないだろうが、今後のイメージセンサー市場の成長を支える主要因になることは間違いない。
ソニーは増産投資
こうした市場環境が、イメージセンサー各社の業績にも影響を与えているようだ。世界首位のソニーグループは、イメージセンサーの販売が絶好調。イメージセンサーの売上高は、22年7~9月期が前年同期比50%増、22年10~12月期が同28%増となり、過去最高を更新し続けている。主要供給先であるiPhoneの新モデルの大判化が大きく寄与したとみられ、円安傾向の為替や、低調…
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週刊エコノミスト
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