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教養・歴史 闘論席

うそもつけるAIに真偽判定を任せる恐怖 池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 人工知能(AI)に携わる研究者として、昨年末にデビューした「チャットGPT」について書かねばならない。

 ここ1、2年で躍進したAI分野が、いわゆる「生成モデル」だ。作文したり、描画したり、作曲したりと、卓越した創作力を発揮するAIが次々と開発された。チャットGPTは文章を自動執筆するAIである。これまでは主に専門家が利用していたが、素人にも使用しやすいように改良され一般公開された。解説文や要約文のような機械的な作業はもちろん、物語や読書感想文でも創作力を発揮する。コンピューターのプログラムコードを書くこともできる。

 私たち科学者にとっての脅威は、学術論文すら書いてくることだ。それも架空の実験データや文献を使った偽造論文だ。米ノースウエスタン大学のガオ博士らが、医学論文の要旨をチャットGPTに書かせ、論文審査員に判定させると、偽造を見抜けたのは全体の68%にとどまった。そこで博士らは偽造を見破る専用のAIを開発し、これを用いることで99%以上の精度での偽造検出に成功した。「AIのうそを見抜くのはAIの仕事」と…

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