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米国の“失業率上昇”は“貸出態度厳格化”の後にやってくる 藤代宏一

 FRB(米連邦準備制度理事会)が2月6日に公表した2022年10~12月期の銀行融資担当者調査は、銀行の貸出態度の厳格化が顕著となった。

 これは既往の金融引き締め効果が実体経済に及んでいることを意味する。銀行貸出態度は大・中企業向けがプラス44.8、小企業向けがプラス43.8となり、それぞれ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生初期の混乱期を除けば、リーマン・ショック(08年)以降で最も厳格な基準に達している(数値上昇は銀行の貸出態度が厳格化していることを意味する)。

 この背景にあるのは、FRBの急速な利上げに伴う長短金利差の縮小・逆転によって銀行の貸出利ざやの源泉が減っていること、また、来たるべき景気後退に備えて銀行が融資基準を引き上げていることであろう。

 銀行が貸し出しに対して消極的な姿勢をとれば、経済活動が減速するのはいうまでもない。銀行貸出態度は、失業率(の前年差)と一定の連動性を有することが知られている。これは貸出態度の厳格化が企業の資金繰り悪化を通じて倒産や失業発生に結び付いていると理解される。

 1月の失業率は3.4%と歴史的低水準ともいうべき状況にあり、2月6日にイエレン財務長官は「50万人の雇用増と約50年ぶりの低い失業率があれば、不況ではない」と米経済の軟着陸に自信をみせた。

 しかしながら、過去に貸出態度の厳格化から数カ月遅れて失業率が上昇してきた…

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週刊エコノミスト

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