中国半導体の回復期は意外に早い 藻谷俊介
前回、中国経済不調の原因の一つに半導体電子部品生産の低下を挙げた。日本を含む東アジア全体としても、このシリコンサイクルの動向が、マクロ経済全体の状況を大きく変えてしまう。
今はその他の業種も活気はないが、大幅に減産しているわけではない。つまり、次の景気回復はシリコンサイクルの上昇を伴う必要があり、逆にシリコンサイクルが上昇すれば景気回復が実現すると筆者は考えているわけである。
問題は、その時期だ。筆者が聞き及ぶ範囲でのコンセンサスは、7〜9月期のどこかで底をつけるというものだが、果たしてそこまで時間を要するだろうか。経験上、こうした予測は往々にして転換点を先送りする傾向がある。
図1は、中国の半導体生産に当社で季節調整をかけたものである。新型コロナウイルス禍による特需的な増産の後、2021年秋から減産に転じており、世界の中では最も早くから半導体の生産調整に入っていたのが中国であった。しかし、以前からのトレンドラインに戻ってきたタイミングで、昨年11〜12月には大きく増産に切り返しており、そろそろ底が現れそうな雰囲気になっている。
中国がリードをとれば話が早い。米中の半導体における確執はごく高性能の品目に限られており、全般においては世界市場は強く連結しているからだ。
「生産計画」も的中
また、日本の電子部品デバイス生産の予測修正幅(生産計画の修正)をグラフにした図2を見ると、折しもそ…
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週刊エコノミスト
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