週刊エコノミスト Online編集後記

金山隆一/和田肇

編集部から

「まわり道の方が密度が出る。最短距離ってのはつまんねえんだよ」。東京国立近代美術館で2月5日まで開催の「大竹伸朗展」創作ビデオの中で大竹氏がこう語っていた。

 1980年代にデビューした当時に名前は知っていたが作品は初めて。初期のデッサン画、緻密で大量に作っていたスクラップブック、喫茶店を模した巨大なオブジェ、500点に及ぶ創作に圧倒された。油絵の上に段ボールやベニヤを張り付けては剥がして切り刻み、上からペンキをばらまく創作過程を見て、素人目に「ここでやめたほうが……」と思ったら、本人の「やりすぎて失敗もある」という言葉を聞いて思わず笑った。

「効率こそ至高の価値」をぶち壊すこの言葉は彼の創作の原点だろう。80年代に既製のポップやロックをぶち壊しにかかったパンクやテクノポップと共鳴していた気構えも不変だった。

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