浜田健太郎/村田晋一郎
有料記事
編集部から
イトーヨーカ堂の創業者、伊藤雅俊氏が3月10日、98歳で亡くなった。「物腰柔らか」「気配りの人」などと語られる伊藤氏だが、時には別の表情を見せることもあった。
2005年にダイエー創業者の中内功氏が死去した時、産業再生機構の支援を受けたダイエーは社葬を行わなかった。それはあまりにしのびないと、伊藤氏やイオン創業者の岡田卓也氏ら流通業界の有志が「お別れの会」を開催。ダイエー首脳も参加し、伊藤氏らにあいさつをと近寄っても、同氏はいちべつもせず厳しい表情を崩さなかった。
高度成長期からバブル期にかけて、伊藤、中内両氏はしのぎを削った。関西発祥のダイエーと関東中心のヨーカ堂はライバル意識が強く、中内氏側からは伊藤氏へのひどい中傷も聞かれた。そんなかつての商売敵を許し、流通革命の同志を弔った伊藤氏の豪毅(ごうき)さに感銘を受けた。合掌。
残り913文字(全文1287文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める