勢い鈍化の工作機械受注が行き着く先 藤代宏一
日本の工作機械受注は、そのサイクルがグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)やアナリストの業績予想=TOPIX予想EPS(1株当たり純利益)と連動性を有することが知られている。
普段あまり大きく取り扱われることのない指標ではあるが、世界経済や株式市場を見通す上で有益であると筆者は考える。
3月9日に日本工作機械工業会が発表した工作機械受注統計によると、2月の受注額(原数値)は1240億円で、前年比伸び率(原数値)はマイナス10.7%と引き続きマイナス圏で推移した(図1)。筆者作成の季節調整値は前月比マイナス6.1%、1266億円であった。
内訳は国内向けが季節調整済み前月比マイナス18.9%と急減し、前年比(原数値)でもマイナス20.3%と6カ月連続でマイナス圏での推移となった。「外需」は前月比プラス1.7%、前年比マイナス5.5%と2カ月連続のマイナスを記録。国内外で設備投資を抑制する動きが浮き彫りになった。
ここでグローバル製造業PMIに目を向けると、2月は欧米経済の停滞が続く中、中国経済が回復したことで50.0へと改善した。ただし「前月比の変化を問う」この指標が改善したのは、春節明けの中国経済再開によって強さが誇張されていた可能性があり、その持続性には疑問が残る。海外経済は大きく見れば減速している可能性が高く、工作機械受注はそうした風向きの悪さを映じているようにみえる。
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週刊エコノミスト
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