人口減の韓国 若者の起業意欲と英語力で危機回避も 前川直行
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韓国では猛スピードでスタートアップ企業の拡大が続いている。ロンドンや上海を抜いて世界首位か。
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韓国は製造業が稼ぎ頭で、最大の輸出品は半導体であり、次いで自動車や液晶ディスプレーなどが上位に挙がる。韓国の産業のほとんどは財閥などが中心で、韓国経済を支えてきた。このため、就職先として財閥は非常に人気が高い。財閥企業への就職を目指して、韓国の若者は子どもの頃から厳しい競争にさらされている。その理由は、給与が財閥企業とそれ以外では大きく違い、財閥企業で働くことが成功の証しでもあるためだ。財閥企業に就職できるか否かで、人生がほぼ決まってしまい、その後の逆転も難しいといわれている。さらに、近年は非正規雇用の比率が上昇しており、正規雇用との給与格差は、韓国の大きな社会問題となっている。
韓国の2023年の経済見通しはどうか。輸出が昨年から不振で、23年も年初から貿易赤字が続いている。貿易が経済成長を大きく左右する韓国では、貿易赤字は重要な経済問題だ。貿易収支とサービス収支の赤字が足を引っ張り、経常収支も年初来赤字の状態であり、この状況がしばらく続くと想定される。そのため、国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行、韓国銀行などは、23年の韓国の経済成長率を1%台後半と低く見込んでいる。それでも韓国は十分な外貨準備があり、対外資産も豊富に有しているので、大きな問題が生じる心配はないと思われる。
ベンチャー起業ラッシュ
今後5年間の韓国経済を見通した場合、まず人口問題が影響しそうだ。韓国は21年から人口減少が始まっており、22年の合計特殊出生率は0.78だったので、人口減少はさらに加速し、経済の低成長が続く可能性がある。若者の置かれる厳しい状況も、根本的な改善は期待できない。
ただし、暗い見通しばかりではない。韓国経済で新たに注目されるのは、スタートアップ…
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週刊エコノミスト
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