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国際・政治 闘論席

私たちは“異次元の軍拡路線”に同意した覚えがないのだが 古賀茂明

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

古賀茂明の闘論席

 岸田文雄首相がひた走る「異次元の軍拡路線」。安倍晋三元首相を上回る勢いだ。防衛費を2倍にすると決めたが、これで日本の防衛費(軍事費)は世界9位から米国、中国に次ぐ世界3位となる。

 だが、財源についてはさまざまな細工を施し、見かけ上は増税を最小限としている。病院を運営する独立行政法人の積立金から約750億円、政府の投融資の管理を行う財政投融資特別会計から2000億円、為替介入のための外国為替資金特別会計から1.2兆円を軍事費に回し、国有財産の売却などで3兆円強を捻出する。いずれも国民の財産だが、なぜ防衛費に充てるのか全く説明がない。さらに、他の予算の未消化分や予備費の不使用分も軍事費に注ぎ込む策謀が進行中だ。

 これは国民にとって大変な意味を持つ。岸田政権の基本路線は、財源があれば全て、国民の議論を経ずに、まず軍事費に充てるということだ。逆にいえば、社会保障や教育・子育て支援などの予算の財源は枯渇するから、これらを増やすには増税や増税と同じである保険料引き上げを行うか、社会保障などの予算を削るしかなくなる。軍事最優先路線なのである。

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