経済・企業株式市場が注目!海外企業

スマホ、テレビ、DRAMでシェア世界一のサムスン電子 富岡浩司

ラトビアの空港内に設けられたサムスン電子のショールーム(Bloomberg)
ラトビアの空港内に設けられたサムスン電子のショールーム(Bloomberg)

Samsung Electronics 22年純利益は5兆円超/77

 サムスン電子は家電から半導体まで幅広い電子製品を供給する韓国企業だ。4月中旬現在、韓国総合株価指数(KOSPI)を構成する銘柄の時価総額に占める割合は19.8%に達し、韓国経済を背負う最重要企業といえる。

 1969年、家電メーカーのサムスン電子工業として創業した(84年に現社名に改称)。初代会長の李秉喆(イ・ビョンチョル)は同社の母体となった総合商社、サムスン物産の創業者だ。テレビ、冷蔵庫、エアコン、電子レンジ、半導体といった具合に生産品目を増やしたが、李は87年に死去。

 後継の会長に就いた三男の健熙(ゴンヒ)は「世界5大電子企業の仲間入りを果たす」という目標を立て、技術力を高めた。93年に品質重視の姿勢を徹底するため、「妻と子ども以外は全て変えろ」とげきを飛ばしたのは有名だ。テレビや半導体に加えてスマートフォンが世界を席巻し、売上高は2015~22年に200.6兆ウォン(現行レートで約20兆円)から302.2兆ウォン(約30兆円)、純利益は19.0兆ウォン(約1.9兆円)から54.7兆ウォン(約5.4兆円)に急拡大した。健熙は20年に死去。22年に長男の在鎔(ジェヨン)氏が会長に就いた。

 主な事業部門は①テレビ、モニター、冷蔵庫、スマホなどのデジタル・エクスペリエンス(DX)部門、②DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)、NAND型フラッシュメモリー(書き換え可能で電源を切ってもデータが残るメモリー)などのデバイス・ソリューション(DS)部門、③スマホ用有機ELパネルなどの子会社サムスンディスプレー(SDC)、④デジタル化した車載操作機器の子会社、米ハーマンインターナショナル(17年に買収)──の四つだ。

半導体が主力

 22年売上高の部門別構成比はDX部門60%、DS部門33%、SDC11%、ハーマン4%だった。合計すると100%を超すのは、自社製のパネルや半導体を自社製のスマホやテレビに使用し、売上高を二重に計上することがあるためだ。本業のもうけを示す営業利益の構成比はDX部門29%、DS部門55%、SDC14%、ハーマン2%と、半導体の利益貢献度が大きいことが分かる。

 競争力が非常に高い製品が多いのが特徴だ。「ギャラクシー」ブランドで知られるスマホの場合、22年の世界出荷数シェアは1位の21.6%で、2位米アップルの18.8%を凌駕(りょうが)した(米調査会社IDC調べ)。テレビの売上高シェアは29.7%(同年、英調査会社オムディア調べ)、半導体製品はDRAMが45.1%、NANDが33.8%でいずれも1位だった(22年10~12月期、台湾の調査会社トレンドフォース調べ)。

営業利益96%減

 もっとも、今年4月7日に発表した23年1~3月期の業績(速報値)は急激に悪…

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週刊エコノミスト

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