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資源・エネルギー 電力が無料になる日

中国2大電池メーカーは定置用蓄電池でも世界最強 湯進

東京ビッグサイトの2次電池国際ショーに出展されたCATLのモジュール式屋外型蓄電池(2023年3月) 筆者撮影
東京ビッグサイトの2次電池国際ショーに出展されたCATLのモジュール式屋外型蓄電池(2023年3月) 筆者撮影

 中国が進める国家的な脱炭素戦略の要は電池。米テスラも蓄電池そのものへの巨額投資を決めている。

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 2023年4月9日、米電気自動車(EV)大手テスラが上海市の臨港新エリア管理委員会と蓄電池の新工場設立で契約を締結し、24年4~6月期から上海で大型蓄電システム「メガパック」の生産を開始すると決めた。1台で3600世帯(1時間当たり平均)を蓄電できるメガパックを年1万パック、約40ギガワット時(GWh)相当を製造し、世界に販売する。

 米中デカップリング(分離)が進むなか、テスラが中国で大規模な投資をするのは、中国政府の脱炭素戦略の強化による蓄電池市場の拡大が見込まれるからだ。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は22年5月、中国の短文投稿サイト「微博」で「中国が再生可能エネルギーとEVの分野で世界をリードする」とつぶやき、中国の蓄電池市場進出を検討しはじめた。

日韓メーカーの閉め出し

 中国政府は30年までの温室効果ガス排出量のピークアウトと60年のカーボンニュートラル実現を目標に掲げており、電力に占める再エネの比率を22年の32%から35年の60%に引き上げ、化石燃料依存を大幅に削減する計画を強力に進めている。

 22年に新設した発電所の設備容量は1億9974万キロワットで最も多く増えたのは太陽光発電。全体の44%を占めた。風力発電も米国の2.5倍の3763万キロワットで、10年以上世界1位を維持している。

 一方、再エネの普及で気象変動や需給のミスマッチを調整する蓄電設備の需要も高まっている。中国で稼働した蓄電設備容量は22年に前年比38%増の59.8GWh、世界全体の25%を占めた(貯蔵エネルギー産業白書23)。

 中国政府が蓄電インフラの整備を強力に進め、テスラの巨額投資すら呼び込めるのは、「世界の電池工場」としてのサプライチェーン(供給網)の基盤を国が整備し、世界に伍(ご)していける電池メーカーと裾野産業を育ててきたからだ。政府は「電池を制するものが電動化を制する」と意識し、政策支援を通じて電池産業の競争力を強化してきた。

 特筆すべきは中国工業情報省が打ち出した産業保護政策だ。16年には中国メーカーの電池を使うEVだけを補助金対象とする仕組みを導入し、競合する日韓の電池メーカーを締め出す政策をとった。この政策で頭角を現した寧徳時代新能源科技(CATL)はいち早く長距離走行に対応する三元系(ニッケル・コバルト・マンガン酸)電池の量産を実現し、価格競争力をつけて独BMWを皮切りに世界の自動車メーカーが採用した。

 ニッケル・カドミウム電池から事業をスタートしたBYDは、1999年にリチウムイオン電池の生産に着手し、中国車載電池市場で地位を固めた。同社が生産したリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)は、コストで三元系電池の7割にとどまり、安全性も高く、蓄電分野でも多く採用されている。主力の「ブレード電池」は寿命が長く、航続距離でテスラが採用したパナソニック製の円筒型電池に遜色ない水準だ。国策としての中国のEVシフトと車載電池の需要増は地場電池メーカーを世界トップに押し上げた。23年1~3月の世界の車載電池搭載量では、CATLとBYDが上位2位を占め、中国系6社が世界トップ10にランクインした。

世界シェア6割超

 地場電…

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