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同じ空気汚染でも「屋内」は放置されている 池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 空気汚染というと多くの方は工場から排出される煙やスモッグを想像するだろう。この偏ったイメージは、空気汚染の重要な側面を見落とす一因になっている。空気汚染は屋外だけではない。2020年には屋内の空気汚染によって世界で300万人以上が死亡している。この犠牲者数は屋外の空気汚染とほぼ同数である。

 屋外の空気汚染については広く認知されており、国家基準や国際的な協調体制があり、法的強制力も持っている。対照的に、屋内の空気管理は、政策的にも科学的にもそれほど注目されていない。多くの方が80%以上の時間を、家庭や学校や職場などの屋内で過ごすことを考えれば、問題が歪(いびつ)に放置されていると言ってよいだろう。

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