マーケット・金融THE MARKET

《東京市場》インフレに強い高配当株が注目 芳賀沼千里

 配当重視の株式投資は、配当取りなど季節的な話題に限られる傾向があるが、長期運用の視点からも注目できる。

 まず、日本でもインフレが意識される中、配当は長期的にインフレを上回って成長する。米国株をみるとS&P500の1株当たり配当金は、1960年から63年間に年率5.9%成長し、エネルギーと食料品を除いたコア消費者物価上昇率3.7%を上回る。この間に利益が前年から減少した年は19回であるが、配当金が減少した年は5回にとどまる。企業が株主の声を重視するために、減配リスクは市場の懸念ほど大きくない。日本では主要企業の配当総額が2000年度の3兆円から22年度に17.3兆円まで増加。年率成長率は8.4%である。

 今後も日本企業は配当を増やすだろう。財務体質が堅固であるが、配当と自社株買いを合計した総還元性向が欧米企業に比べて低いため、増配の余地が大きい。近年、企業統治の改善に連れて、株主還元に前向きになる日本企業が増えている。23年度の経常利益の会社予想が小幅なマイナスであるにもかかわらず、増配計画を発表する企業の割合が東証プライム市場上場3月決算企業で43%と、00年度以降で最高水準に達した。

残り432文字(全文933文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事