教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

チャレンジのため異業種に転職。でも、うまくやっていけるか不安です/182

パルメニデス(紀元前520年ごろ〜同450年ごろ)。古代ギリシャの哲学者。エレア派の始祖。詩の形式で哲学を説いたことでも知られる。著書に『自然について』がある。(イラスト:いご昭二)
パルメニデス(紀元前520年ごろ〜同450年ごろ)。古代ギリシャの哲学者。エレア派の始祖。詩の形式で哲学を説いたことでも知られる。著書に『自然について』がある。(イラスト:いご昭二)

Q チャレンジのため異業種に転職。でも、うまくやっていけるか不安です 新しいチャレンジがしたいと思って異業種に転職したのですが、いざ働き始めると、思った以上に違うことが多く、うまくやっていけるか不安になっています。(スタートアップ企業・30代男性)

A「あるは、ある。ないは、ない」という不動の存在に自信を得、進もう

 私も商社から市役所、そして学校と、まったく異なる業種への転職を重ねてきたので、その都度同じような不安を抱いた記憶があります。特に転職したての頃は不安になりますよね。

 そんな不安な気持ちを抑えるには、古代ギリシャの哲学者パルメニデスの考えが参考になると思います。パルメニデスは、哲学史上初めて「ある」ということの意味について考えました。

 そのために、まず生成変化を否定します。つまり、物事はさまざまに移り変わるように見えて、実はそれは思い込みであって、変わることはない不動の存在があるということです。彼はそのことを「二つの道」に例えています。

リンゴはリンゴ

 一つ目の道は、「真理の道」と呼ばれるものです。これは「あるは、ある。ないは、ない」という原理で説明されます。つまり、これこそ不動の存在です。もう一つは、「思い込みの道」と呼ばれるものです。こちらは「あり、かつ、ない」と表現されます。一見あるように思えて、実は存在しない道のことです。

 私たちはあたかも二つ目の道があるかのように勘…

残り718文字(全文1318文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事