子どもケアの米最大手 ブライト・ホライズン・ファミリー・ソリューションズ 清水憲人
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Bright Horizons Family Solutions 事業所契約型サービス/87
ブライト・ホライズン・ファミリー・ソリューションズは事業所契約型子ども関連サービスの米最大手だ。創業者の一人、リンダ・メイソン氏が2008年、米経営誌『ハーバードビジネスレビュー』に寄稿した記事によると、1986年、アフリカのスーダンで援助団体の仕事を終了したばかりの同氏と恋人のロジャー・ブラウン氏が創業した。
当時は子どもの預け先が見つからず苦悩する共働き世帯が増えていた。職場に信頼できる施設があれば、親は助かり、雇用主にもメリットがある。そう考えて創業したという。両氏は21年に引退するまで同社の取締役を務めた。
月謝は30万円前後
22年12月期売上高の74%を計上したのは、同社が「フルサービス型施設内子どもケア」と呼ぶ乳幼児教育や保育などからなる事業。同社と契約した事業所内やその近所の施設で、従業員の子どもにサービスを提供する。
施設を保有するのは契約先の事業所が多く、ブライト・ホライズンはサービスを提供して対価を受け取る。同社が施設を用意する場合は賃借が一般的だ。
同事業の収入の約90%は保護者が支払う料金。子どもの年齢、施設の立地、雇用主の補助の有無などによって変動する。同社が米国で運営する360施設の平均額(月額)は、おおむね生後3~16カ月の乳幼児2350ドル(約34万円)▽おおむね16カ月~3歳の幼児2200ドル(約31万円)▽3~5歳の未就学児1850ドル(約26万円)。
売上高の20%を計上したのは、同社が「バックアップケア」と呼ぶベビーシッターの派遣や利用可能な託児所を紹介する事業。さらに、契約先事業所向けの従業員研修や、教育ローンの返済に関する相談などからなる事業も営む。米国では大学の学費が高騰し、多額の残債がある人が多く、社会問題化している。ローンを抱える社会人の支援にとどまらず、いずれ大学に進む子どもがいる人の相談も受け付ける。
22年末現在の運営施設1078カ所のうち、米国は643カ所、その他は英国、オランダ、オーストラリア、インドに立地する。海外売上高比率は26%に上った。
契約先事業所は22年末現在、1400を超す。売上高上位500企業を示す「フォーチュン500」のうち、少なくとも215社が顧客に名を連ねる。
また、政府機関や高等教育機関とも契約している。契約先別の売上高で上位10事業所が占める比率は8%。特定の大口顧客に依存していない点も強みの一つといえる。
企業買収で豪進出
業績を順調に伸ばしてきたブライト・ホライズンにとって、新型コロ…
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週刊エコノミスト
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