首都直下地震のメカニズム プレート3枚で3タイプ想定/156
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首都圏とは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を指し、日本の人口の約3割が集まった巨大なエリアである。その直下には「プレート」と呼ばれる岩板が3枚ひしめいている。首都圏自体は北米プレートという大陸プレートの上にあるが、その下には海洋プレートのフィリピン海プレートが潜り込み、さらにその下に同じく海洋プレートの太平洋プレートが潜り込む複雑な地下構造を持つ(図)。
こうしたプレートの境界が一気に滑り、また地下の岩盤が大きく割れることで、さまざまなタイプの地震が発生する。政府の中央防災会議は、首都直下で発生する地震を具体的に想定しており、特に重要なものとしては次の3タイプがある。
①都心南部直下地震:北米プレートとフィリピン海プレートの境界で起こるマグニチュード(M)7.3の直下型地震。震源は東京都大田区の地下と想定され、最大震度7の揺れが起きる
②立川断層帯地震:東京都府中市~埼玉県飯能市に、長さ33キロメートルの活断層「立川断層帯」がある。この活断層による地震の規模はM7.4
③大正関東地震:関東大震災(1923年)を引き起こしたM8クラスの地震。北米プレートとフィリピン海プレートの境界が周期的に滑って発生。海底にある「相模トラフ」という谷状の地形は、プレートの沈み込みによってできた
他に震源域19カ所
これ以外にも、首都圏には南海トラフ巨大地震が大きな被害をもたらす。東海地震はその一部であり、M9.1の巨大地震が2035±5年に起きると予測されている(本連載の第16回を参照)。さらに、「都心東部直下地震」「都心西部直下地震」(いずれもM7.3)などを含め、首都圏の直下には想定される震源域が19カ所あり、そのどれが発生してもおかしくない状況にある。
日本列島の内陸で起きる直下型地震は、11年の東日本大震災を引き金として活発化した。その原因はM9.0という約1000年ぶりの巨大地震が地盤を不安定にしたからだ。具体的には、東日本大震災によって日本列島の地盤が東へ引き伸ばされた結果、日本は最大5.3メートルも太平洋側に移動した(本連載の第11回を参照)。
ここで生じたひずみを解消しようとし…
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週刊エコノミスト
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