《東京市場》原油高で日本株上昇シナリオに注意信号 芳賀沼千里
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原油価格が上昇している。サウジアラビアやロシアの減産の延長決定や米国の原油在庫の減少を受けて、再び1バレル=90ドルを超えた。一方、北米の油田掘削リグの稼働件数が減少傾向にあり、需給逼迫(ひっぱく)は続く可能性がある。米国では堅調な雇用情勢を背景にストライキが多発しており、賃金上昇圧力が根強い。原油価格の上昇が続けば、インフレ率が高止まり、市場の期待する比較的早期の金融緩和は難しくなる。
ただし、過去、原油価格が上昇した後、米国景気は悪化することが多かった。1970年代に2回の石油危機があり、2001年のIT不況や08年の世界金融危機の前に原油価格は上昇した。インフレが加速すれば、実質所得が減少して個人消費が伸び悩むからだ。日本や欧州は原油輸入国であり、価格が上昇すれば交易条件が悪化して、産油国への所得移転が起こる。これは増税と同じ効果を持つ。
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