週刊エコノミスト Online独眼経眼

高金利下でも世界景気は堅調に回復中 藻谷俊介

 ここ数回のコラムで筆者は、世界景気について、高金利下での緩やかな回復というルートが現実化する様を示してきた。

 市場が想定した景気の“ルート”は二つある。一つは、景気が良いがゆえに高インフレになり、利上げが終わらず景気が壁に激突するというルート。もう一つは、ここまでの利上げで景気が悪化して、すぐにも利下げに転換せざるを得なくなるというルートだ。ただ、現実の景気は、この二つの間をうまくすり抜けて進んでいる。

 このような現象が起きる主な理由を、金利サイクルと景気サイクルの位相がずれていることで示した(6月13日号)。新型コロナやウクライナ戦争を起因とするインフレにより、景気サイクルとは無関係に大きな利下げと利上げが行われたが、景気サイクルは金利サイクルの“圧力”に屈せず、独自のリズムを刻んでいる。猛烈な利上げの中で逆に底入れして回復しているのだ。それが、利上げ環境下での株価上昇という、今年の業績相場(非金融相場)的な動きにつながったと筆者は考えている。

 とはいえ、主流派経済学の常識では、金利サイクルが景気サイクルを支配する。米連邦公開市場委員会(FOMC)の度に一般メディアも巻き込んだ「高金利不況説」が醸成され、株式相場は実際の景気回復、業績回復に反応しつつも、一方で回復を信じきれないと…

残り661文字(全文1211文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事