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沖縄の未来 深まる本土との溝、高まる独立の機運 大田昌秀(2015.8.18)
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週刊エコノミストは戦後70年を迎えた2015年8月、総力特集「戦後70年 歴史と未来~これまでの70年、これからの30年」を掲載した。以下は同特集での大田昌秀・元沖縄県知事へのインタビューです。(聞き手/構成=花谷美枝・編集部)
沖縄と本土の人々の間には戦前から続く心理的な溝がある。その溝は近年、米軍基地移設問題によりますます広がりつつある。
戦後、沖縄では「平和憲法のもとに帰ろう」をスローガンに日本への復帰運動が始まった。米軍統治下の沖縄は、日米どちらの憲法も適用されていなかった。沖縄の人は人間らしく扱われず、本土の目的を達成するための手段に供されてきた。
1972年に日本に復帰した直後は、建物、道路、港湾が整備されていく様を見て「復帰してよかった」という人が県民の8割を占めた。だが年月がたつとともにさまざまな批判が出てきた。米国統治下で日本復帰を主張して沖縄社会大衆党の結成に参加した元コザ市(現沖縄市)長の大山朝常氏(故人)は、著書『沖縄独立宣言』(97年)で「ヤマト(日本)は帰るべき『祖国』ではなかった」と記している。
沖縄は日米安保条約の下で日本に返還された。65年から始まった…
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