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未来学者 アルビン・トフラー「日本では旧世代が若い世代をいじめている」(2006年7月18日)

週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。

15年ぶりの新著を出した未来学者・アルビン・トフラー

ワイドインタビュー問答有用(2006年7月18日掲載)

 人類の歴史を変えたとさえ言われる世界的大ベストセラー『第三の波』。あのアルビン・トフラーが帰ってきた。新刊『富の未来』のプロモーションのため来日した現代最高の「予言者」に、21世紀経済の未来と日本の現状について聞いた。(聞き手=志摩和生・編集部)

 第一の波が農業革命。第二の波が産業革命。そして、現在進行中の第三の波は「知識」革命だ--そう説いた1980年の『第三の波』は、世界中で翻訳され、1000万部以上を売り上げた。90年、やはり大きな話題になった『パワーシフト』を出版。この6月に日本でも出版された『富の未来』(講談社)はそれから15年ぶりの大著ということになる。

-- 「個人のマス(集団)への埋没」ばかりがいわれていたころ、『第三の波』はそれに逆らって、「社会は多様化する。個人の重要性はこれから高まる」と予言した。私がそれを読んだのはちょうど社会に出たころで、あなたの主張に励まされたのを覚えています。それから25年を経て、あなたの予言が当たったことは明らかですね。

トフラー 外れた予測もありますけどね。ソ連の崩壊を含めてほとんどは当たったといっていいでしょう。とはいえ、私は予言者ではないのでお間違えのないように。私がしているのは、現在進行している変化に関して、大きな図式を描いてみせることです。

-- 新しい知恵と知識が全編にちりばめられた新刊『富の未来』にも圧倒されました。この本は、『第三の波』『パワーシフト』の続編と考えればいいのでしょうか。

トフラー 私の著書は、続き物というわけでなく、お互いに補い合う関係と見てもらうのがいい。第三の波による変化という大きな図式が共通してあって、それぞれに焦点が違う。『未来の衝撃』(70年)では変化のスピードに焦点を当てました。歴史の高速化が社会や個人にどう…

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