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週刊エコノミスト Online 創刊100年特集~Archives

エッセー 経済学は現代の神話である 西部邁(2000年4月10日)

この原稿は、評論家の西部邁氏がエコノミストの創刊77周年記念の臨時増刊『今こそ、経済学。』に寄稿したものです。(原文に加えて一部で改行を増やしています)

エッセー 経済学は現代の神話である 西部邁

西部邁 評論家・秀明大学教授

ウソクサイ学問だなあ

 青年の頃に私が経済学をやったのは、消去法によってであるにすぎなかった。理系の学問よりも文系のそれに自分の関心が向いていると自覚し、そして文学や法学は嫌いではないが、そのための能力が自分に不足しているとわかってくるにつれ、経済学なら自分にもできるかなと思ったということである。

 もちろん、時代の気分は私にも伝わっていて、経済学こそが社会の基礎的次元を解き明かすのだ、という史的唯物論めいた意識が私になかったわけではない。しかし、ありていにいって、経済学ならば格別の能力や好みがなくても取り組めそうだ、という怠惰な気持ちが私を経済学に赴かせたのであった。

 いわゆるマル経と近経を少々やってみて、まだそれらに深入りしている人々には失礼になることを承知の上でいうと、ウソクサイ学問だなあとつくづく感じさせられた。というのも、その学問に対応する現象も(その現象を概念…

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