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週刊エコノミスト Online 創刊100年特集~Archives

「複合不況」の病理をさぐる 金融自由化の帰結としての調整過程 ③ 宮崎義一(1992年5月12日)

ベストセラーになった『複合不況』を著した宮崎義一氏がエコノミストで執筆した「『複合不況』の病理をさぐる」を3回に分けて掲載します。バブル崩壊は単純な景気後退ではなく、金融自由化、経済の国際化の広がりなどさまざまな要因が複雑に絡み合って引き起こされていると説きます。

「複合不況」の病理をさぐる 金融自由化の帰結としての調整過程 ③

宮崎義一 京都大学名誉教授

ケインズ時代の終焉

 さて以上によって明らかなように、当面する日本の景気後退がS-F(「ストック」-「フロー」)複合リセッションであるとすると、公定歩合の引き下げの効果も大きく影響を受けることとなろう。すでに述べたようにBIS規制が日本経済をとりまく金融上のフレームワークとなれば、日本の銀行の最大の関心事は自己資本比率の確保となり、したがって融資の量的拡大を左右する要因としては、自己資本比率の構成に直接影響を与える株価の変動と為替レートの変動のほうが、公定歩合の変動より優先されることとなる。

 また冒頭にふれたように公定歩合の引き下げを強く期待していた人たちは、近い将来もう一度公定歩合の引き下げがあると予想されるから借り渋り、かえって投資意欲…

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