教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

人生がマンネリ化。でも新しいことにチャレンジする気力もありません/196

ピエール・アド(1922~2010年)。フランスの哲学者。ギリシャ・ローマなどの古代哲学の研究で知られる。著書に『イシスのヴェール』などがある。(イラスト:いご昭二)
ピエール・アド(1922~2010年)。フランスの哲学者。ギリシャ・ローマなどの古代哲学の研究で知られる。著書に『イシスのヴェール』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 人生がマンネリ化。でも新しいことにチャレンジする気力もありません 仕事でもある程度先が見えてきて、子育ても一段落したせいか、人生そのものがマンネリ化しているような気がします。かといって新しいことにチャレンジする気力はありません。どうすればいいでしょうか?(会社員、50代男性)

A 「今を生きる」ことを意識し、全ての瞬間に無限の価値を感じよう

 どうして人は人生にマンネリ化を感じるのか。それは生きることを当たり前のものだと思ってしまうからではないでしょうか。

 そこで今回はフランスの哲学者ピエール・アドの思想を紹介したいと思います。アドは何度も手術を受け、死を意識した経験から、どう生きるのがいいのか考え抜きました。そうしてたどり着いたのが、今を生きるという境地だったのです。

 彼はそのことを、「世界を初めて見るかのような、そして最後に見るかのような気持ちで生きること」と表現しています。そうすることで、すべての瞬間に無限の価値が存在することに気づくというのです。

高所で世界を眺め直す

 そう考えると、別に新しいチャレンジなどしなくとも、日常の中で少し視点を変えるだけで幸福を感じることができます。たとえば、いつもやっている仕事でも、初めてやった時のことを思い出し、そしてもしかしたらこれが最後かもしれないと思えれば、緊張感や喜びが生じてくるのではないでしょうか。

 たしかにそれは簡単なことではありま…

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