ポスコ・ホールディングス 粗鋼生産世界7位の韓国大手 宮川淳子
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POSCO Holdings 30年までに計13兆円投資/102
ポスコ・ホールディングス(HD)は韓国鉄鋼最大手のポスコなど180社を傘下に置く持ち株会社だ。1968年、韓国政府が発行済み株式の75%をもつ「浦項総合製鉄」として創業し、73年に韓国南東部の浦項市で同国初の一貫製鉄所として操業を始めた。
鉄鋼は引き続き収益の柱
操業開始当初の粗鋼生産量は103万トンだった。鉄鋼メーカーは建設業や自動車などの基幹産業を下支えする重要な役割を果たすことから、韓国の経済成長とともに成長してきた。
その後、韓国政府が鉄鋼業への新規参入を認め、設備の新増設を自由化したことで事業環境が大きく変わり、浦項総合製鉄は付加価値の高い鋼材加工や冷延鋼板などの最終製品に事業を拡大。2002年に社名をポスコ、22年に現社名に変更した。世界鉄鋼協会の調査によると、同社の粗鋼生産量は同年、3864万トンで世界7位だった。同年12月期の売上高は84兆7502億ウォン(約9.3兆円)と、00年代半ばの3倍以上に膨らんでいる。
事業セグメントは、鉄鋼▽「親環境インフラ」(貿易、エネルギー、建設)▽「親環境未来素材」(車載電池材料、化学品)──の三つに分かれる。
鉄鋼セグメントは鉄鋼子会社ポスコが製造する冷延・熱延製品、ステンレス製品、厚板などの鋼材・鋼板のほか、製品の加工材料となる半製品(鋼片)からなる。これら製品を系列商社のポスコインターナショナルが自動車、造船、家電、エンジニアリング、機械などの業界に販売している。
22年12月期売上高に占める同セグメントの構成比は50%、営業利益の65%を占める主力事業だが、営業利益は前期比61%減となった。原料炭価格の高騰に加え、22年9月、浦項市が台風被害を受けたことによる生産停止や損傷在庫などで1.3兆ウォン(約1430億円)の営業損失を計上したことが主因だ。ただし、23年7~9月期の粗鋼生産設備の稼働率は90.8%まで回復していることから、今後、収益は緩やかに回復に向かうとみられる。
23年10月、中国国営鉄鋼大手の河鋼集団と共同で総額6億ドル(約864億円)出資し、自動車用めっき鋼板工場を中国河北省で稼働させた。最先端の連続溶融亜鉛めっきラインは耐食性、溶接性、成型性などに優れ、世界の自動車大手の需要が見込まれる。合弁工場では生産の難易度が高い電気自動…
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週刊エコノミスト
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