中芯国際集成電路製造 禁輸措置を受ける中国半導体大手 富岡浩司
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Semiconductor Manufacturing International Corporation 24年は需要回復に期待/101
中芯国際集成電路製造(SMIC)は半導体受託製造の中国最大手だ。2000年、同業の台湾積体電路製造(TSMC)を退職した張汝京(リチャード・チャン)氏が中国上海市で創業。04年に香港とニューヨークの両証券取引所に上場、20年に上海証券取引所スター市場(科創ボード)に上場した(ただしニューヨークは19年に上場廃止)。
市場シェア世界5位
台湾のTSMCや聯華電子(UMC)などと同じく、パソコン、スマートフォン、サーバーなどの用途に開発・設計した半導体の生産を請け負う。台湾の調査会社トレンドフォースの調べでは、半導体受託製造業界の4~6月期市場シェアは①TSMC56.4%②韓国のサムスン電子11.7%③米グローバルファウンドリーズ6.7%④UMC6.6%に次ぐ5.6%。上海市、北京市、天津市、広東省深圳に工場を置く。7~9月期売上高の最終用途別構成比はスマホ25.9%▽家電24.1%▽IoT(モノのインターネット)11.5%▽その他38.5%だった。
11月9日、同期決算を発表した際、23年の設備投資額を約75億米ドル(約1.1兆円)に上方修正した。約320億米ドル(約464億円)としているTSMCの25%ほどだ。市場シェアがTSMCの10%ほどしかないことを考えると、SMICの投資意欲は高い。
半導体受託製造業の技術水準は回路線幅で決まる。小さいほど回路を多く書き込め、性能が高くなるからだ。TSMCは3ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体を量産し、25年には2ナノ品に向上する予定。サムスン電子も3ナノ品に手が届いたが、歩留まりが低く、量産とはいいにくい状況だという。グローバルファウンドリーズとUMCは14ナノ品が最先端だ。
一方、SMICは22年以降、最先端技術の開発ペースを公表していない。トランプ米政権が20年に強化した対中半導体規制と関係すると見られる。10ナノ以下の半導体を製造するために必要な機器をSMICに輸出しようとする米企業は商務省の許可を要するという規制で、事実上の禁輸措置だ。
7ナノ品の量産に成功?
ところが23年9月、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が7ナノ品を搭載した新型スマホを中国で発売すると、SMICが製造した半導体なのではないかという見方が浮上した。当初は「仮にSMICがメーカーだったとしても、7ナノ品を量産するのは難しいから、華為の出荷量は限定的だろう」と見られていた。しかし、華為は出荷…
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週刊エコノミスト
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