コスパ重視で物価安 中国国内の価格競争が世界へ 久保和貴
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中国で「ゼロコロナ政策」が事実上解除されてほぼ1年がたった。解除直後の2023年初めこそ、市場は中国経済再開(リオープン)に沸いた。だが春以降、次第に中国景気の先行きに対する懸念が優勢となり、もはや足元の金融市場では、中国の「デフレ入り」すら懸念されている。
中国の23年11月の消費者物価指数は前年同期比で0.5%低下し、10月の同0.2%低下からマイナス幅が拡大した。1〜11月平均でも、前年同期比0.3%上昇と何とかプラス圏にとどまる程度だ。世界各国では過度なインフレが問題となる中、中国の物価動向は異彩を放つ。
株価や不動産価格の趨勢(すうせい)的な下落や不動産開発企業の債務不履行(デフォルト)騒ぎ、若年者の雇用問題などもあり、バブル崩壊後の日本を重ねる見方が多い。日本が経験してきた長期にわたるデフレ経済に中国も陥るのでは、との懸念が静かに広がっているようだ。
そのような中、中国では「コスパ」が一つのブームだ。「安くて良いモノ」を積極的に買い求める動きが日増しに強くなっている。特にディスカウントストアの勢いは強く、有名どころでは「好特売=Hot Maxx(ホットマックス)」が人気を博す。同社は20年2月の設立以降、高品質、低価格、環境保護をコンセプトに店舗を拡大した。同社は賞味期限が近い食品を企業から買い取ることで安売りを可能にしている。
筆者の自宅近くにも1店舗あるが、平日休日を問わずにぎわいを見せる。また上海市内のスーパーマーケットでも賞味期限が近い食品や在庫滞留品を集めて低価格品を並べるブースを展示するなどの工夫が見られるようになった。
安いモノが売れる
「コスパ」の波はEコマース(電子商取引=EC)でも広がる。安売りが武器の「ピンドゥオドゥオ(拼多多)」の勢いが強く、ECサイト大手の京東(JDドット・コム)やアリババの2大巨頭に割って入り、シェアを拡大中だ。拼多多は…
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週刊エコノミスト
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