教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

退職してチャレンジしたいことがあるのに一歩を踏み出せません/198

ミゲル・デ・ウナムーノ(1864〜1936年)。スペインの哲学者、詩人。実存主義の立場から真のスペイン哲学を確立しようとした。著書に『生の悲劇的感情』などがある。(イラスト:いご昭二)
ミゲル・デ・ウナムーノ(1864〜1936年)。スペインの哲学者、詩人。実存主義の立場から真のスペイン哲学を確立しようとした。著書に『生の悲劇的感情』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 退職してチャレンジしたいことがあるのに、一歩を踏み出せません 会社を辞めてチャレンジしたいことがあるのですが、すぐ現実的になって二の足を踏んでしまいます。どうすれば一歩を踏み出すことができるでしょうか。(会社員・30代男性)

A そうありたいと望む自分になるため、ドン・キホーテのごとく果敢に突進してみては

 私も経験がありますが、いくらチャレンジしたいことがあっても、現実に目を向けると、どんどん臆病になってしまうものです。さらに厄介なのは、人は考えれば考えるほど冷静になり、情熱を冷ましてしまう生き物なのです。

 そこで参考にしたいのが、スペインの偉大な哲学者ミゲル・デ・ウナムーノの思想です。彼は、生と死をテーマに実存主義的な思想を確立したといわれています。そんなウナムーノが理想とするのは、スペイン文学に登場する架空の英雄ドン・キホーテのような生き方です。

 具体的には、自分でそうだと思っている自分、他人がそうだと思っている自分、さらに現実にあるがままの自分ではなく、むしろ自分がそうありたいと望んでいる自分になることだといいます。

冷静さは情熱の敵

 だから、こうした彼の思想は、「情熱の哲学」と呼ばれています。またウナムーノは、人生は夢ではないかともいっています。そして、もしそうであるなら、「肉と骨」でできた感情の存在である人間がその夢を超え出るには、相手が風車か巨人かと詮索しているよりも、心情のあふれるままに突進することが大事だというわけです。まさにドン・キホーテが果敢に風車に向かっていったように。

 なぜなら、一見過激であったり、理想主義的な「極端なもの」を取り除いて中庸を求めるような…

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