ストライカー 整形外科医が創業した医療機器大手 児玉万里子
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Stryker 2020年を除き成長が続く/104
ストライカーは米医療機器大手だ。同社の製品は世界75カ国以上で毎年1億3000万人以上の患者が使っている。
医療機器大手の売上高はアイルランドのメドトロニック、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の医療機器部門、独シーメンス・ヘルシニアーズが上位で、ストライカーはそれらに続く規模を誇る。しかし、時価総額は医薬品部門が大きいJ&Jは別格として、ストライカーがメドトロニックに迫る勢いで、僅差の争いを続けている。
整形外科用機器に特色
ストライカーの源流は、背部手術の直後に思うように動けない患者が体の向きを楽に変えられるベッド「ターニング・フレーム」などを発明したホーマー・ストライカー医師が1941年、米中西部ミシガン州で始めた事業だ。46年に「オーソペディック・フレーム」という社名で法人化し、64年に現社名に改称した。
79年には米ナスダック証券取引所に上場した上で、米オステオニクスを買収した。同社は整形外科の患者がひざ、股関節、肩などの骨を治療するためのインプラント(体に埋め込む人工物)を製造する会社だ。ストライカーはこの買収を機に整形外科用インプラント市場に参入した。創業者のストライカー医師は翌年、死去した。97年にはナスダックの上場を廃止し、米ニューヨーク証券取引所に上場している。98年に設立した日本法人は2022年末現在、1000人を超す従業員を雇い、医療機器の輸入・販売を手掛けている。
売上高に占める整形外科用機器の構成比は00年57%、12年44%、22年36%と、徐々に下がった。同業他社の買収によって製品分野を拡大したからだ。今日では、外科機器、手術システム▽内視鏡、コミュニケーションシステム▽患者用機器、救急医療機器、集中治療関連使い捨て用品▽診療関連▽脳神経外科、脳血管分野の機器▽ロボットアーム支援手術システム▽脊椎(せきつい)関連機器──などを手掛けている。
新型コロナウイルス感染症が広がった20年の売上高は治療の遅れと製品出荷数の減少を背景に前年より減少した。ただ、同年を除くと98年以降成長が続いている。過去10年間の年率平均成長率は7.9%だった。この間、毎年の販売数量は増えており、販売価格の低下の影響を補う形になっている。企業買収で売上高が増えたこともあるが、比較的小型の買収を続けているの…
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週刊エコノミスト
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