投資・運用株式市場が注目!海外企業

クラウドフレア 安全・迅速な通信技術の米大手 岩田太郎

昨年12月、米サンフランシスコのカンファレンスで話すプリンスCEO(Bloomberg)
昨年12月、米サンフランシスコのカンファレンスで話すプリンスCEO(Bloomberg)

Cloudflare AI企業の受注が増加/105

 クラウドフレアはサイバーセキュリティーを強化するIT(情報技術)サービスを提供する米企業だ。米ハーバード大学の経営学大学院に在学中だったマシュー・プリンス氏(現最高経営責任者=CEO)とミシェル・ザトリン氏(現社長兼最高執行責任者)ら3人が2009年に創業した。

テレワークが商機

 翌年、市場投入したのは「コンテンツ配信ネットワーク(CDN)」と呼ばれるサービス。文書、画像、音声、動画などのコンテンツをインターネットのユーザーに配信するには、それらを保存したサーバーが要る。ユーザーとサーバー間の通信をCDNのデータセンターを経由させることで、ユーザーの表示を速くできる。サーバーを管理する側にとっては、大量のアクセスを処理しやすくなり、コンテンツの配信を妨げたい何者かが大量のデータを送り付ける「DDoS攻撃」を防御できるといった効果があるという。

 同社が23年に防御したネットワーク層に対するDDoS攻撃は前年比87%増の870万件に上った。外部からの悪意あるデータを即時に見分けてアクセスできなくするサービスに需要が高まっているゆえんだ。

 ユーザーとサーバー間の通信がCDNのデータセンターを経由しても読み込みが速くなる理由は、データセンターが世界中に分散して配置されているからだ。サービス開始当初は米国3カ所、オランダ・アムステルダム、東京の計5カ所だった。同社のウェブサイトによれば、23年9月末現在、世界120カ国以上の310都市に増えている。

 CDNを使う動機が高まっている事情は4点挙げられる。

 1点目は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によって、テレワークが普及したことだ。自宅で働く従業員の通信環境の安全性や快適な速度を確保する必要性が高まっていることだ。

 2点目も、パンデミックに関係する。自宅で過ごす時間が長くなった人々が動画の生配信をよく視聴するようになり、表示を高速化するニーズが高まっている。

 3点目は、企業、行政機関、非営利団体などの利用者がスマートフォンのアプリを使う機会が増え、通信量が増大していることだ。

 4点目は、23年に「生成AI(人工知能)」がブームになったように、AIの利用が世界的に増えていることだ。

 23年12月期売上高は前期比32%増の12億8600万~12億8700万ドル(約18…

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週刊エコノミスト

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